不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
私達はどこか似ている者同士なのかもしれない。


「とりあえず、午後からも正広の弱みを探してよ」

「わかってる。だけど簡単じゃないぞ。あいつは少なくても学校内で悪い顔を見せないと思う」

「あんたと同じで?」


そう聞くと風翔はしかめっ面をして見せた。
学校内で猫を被っているのだとすれば、外に出た時にも尾行してその正体を探るしか方法はない。
思った以上に長い戦いになりそうだけれど、正広と付き合うためなら時間をかけたってかまわない。


「ところであんた、なんで鳥殺しなんてしてるの?」


ふと思い立ってそう聞いた。
別に風翔がなにをしようが関係ないけれど、最近あまりに騒がれている事件だから興味が湧いた。
風翔は軽く肩をすくめると「つまらないから」と、答えた。


「学校も、家も、つまらない」


風翔の言葉に私の胸の中がうずいた。
私も前はそうだった。

不穏ラジオが聞こえ始める前までは、風翔と同じでなにもかもがつまらなかった。


「鳥を殺しているときだけはなんだかスッとするんだ」
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