不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
私は後ろの席の涼香の肩を揺さぶった。
それに反応して勢いよく顔をあげる涼香。

最近教室内で孤立することの多い涼香は、誰かが話し掛けてくれるととてもうれしそうな顔をする。
しかし、私の顔を見た瞬間その表情が沈んでいくのを見た。

相変わらず、私に話し掛けられることは望んでいないみたいだ。


「なによ」


涼香はぶっきらぼうな声で呟くように聞いてくる。
まるで、私と会話しているところを他の誰にも見られたくないと思っているようだ。

それでも私はお構いなく涼香の腕を掴んで立ち上がった。


「話しがあるんだけど、いい？」

「はぁ？　どこで？」

「教室の外の方がいい」


涼香はその言葉にしばらく思案するように黙り込んだけれど、仕方なくといった様子で立ち上がった。
居心地の悪い教室から少しでも離れていたいと思ったのかもしれない。

立ち上がると同時に手を振り払われたけれど、私が歩き出すと大人しく後ろをついて来た。
私たちが教室から出る直前、「地味同士が仲良くなってる」と、優が笑う声が聞こえてきたのだった。
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