不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
「それと、春菜の弱みも欲しい」

「春菜も?」


優は首を傾げているけれど、今度はなんの説明もしなかった。
正広の好きな相手が春菜だなんて、まだ信じたくなかったからだ。

優は視線を空中へさまよわせてなにか思い出そうとしている。
もしかして春菜についての情報を持っているのかもしれない。


「春菜と言えば、年上の男と付き合ってるらしいけど」

「え、春菜って彼氏がいるの!?」


思わず声が大きくなる。
これは大きな収穫だった。
彼氏がいる相手なら、正広も諦めがつくかもしれない!


「うん。どんな人かは誰も見たことがないらしいけど、そういう噂だけは聞いたことがある」


優は最初の怒りをとっくに忘れているようで、普通の声のトーンで話をしている。


「そう。ありがとう、さすが優だね。さっそく役立ちそうだよ」


そう言うと、優も満足そうに笑ったのだった。
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