不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
バクバクと破裂してしまいそうな心臓を胸の上から抑えてどうにか笑顔を作る。
昨日告白したばかりなのに、気まずさもなくこうして話し掛けてくれる正広にやっぱり好きだなを感じる。


「家ってどっち?」


校門を抜けてすぐにそう聞かれたので、私は自分の家のある方角を指差した。


「じゃ、途中まで一緒に帰ろうか」

「え」


まさか正広と一緒に帰ることになるなんて思っていなくて困惑する。
もちろん嬉しいけれど、突然のこと過ぎて何を話せばいいのかわからない。

でも、それも杞憂に終わった。
正広は学校のことや友だちのことをスラスラと話してくれるから、私はそれに相槌を打ったり質問を挟んだりするだけで良かったのだ。

あまり会話したことのない相手にここまでスムーズに会話できるなんて、話術がないとできないことだ。


「そういえば、さっき優に会ったよ」


正広との会話が尽きるのが嫌で、私はなにげなくそう言った。


「長野さん? あの人すごいよね、芸能人をやりながら学校にもちゃんと来てて」


関心したように言う正広に少しだけ胸の奥がモヤつく。
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