不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
☆☆☆

どんなによくない１日でも不穏ラジオの時間はちゃんとやってくる。
私はいつも通り布団に潜ってそれを聞いていた。


【はいはぁい！　みなさんこんばんわ！　不穏ラジオのお時間ですよぉ！】


DJのの男性の声は今日もテンション高めで、元気がいい。
この人は心が沈んだり体調が悪くなったりすることがないんじゃないだろうかと、勘ぐってしまう。
それこそ、プロだからなのかもしれないけれど。


【今日も大谷高校２年A組についての不穏情報を大放出してきますよぉ！】


今日は誰の不穏要素を聞くことができるだろうか。
できれば正広か春菜のことが聞きたいんだけれど。
耳を済ませていると、願っていた人物の名前が叫ばれた。


【今日の相手はこの人！　斎藤春菜さんの不穏要素だぁ！】


春菜の名前が出た瞬間思わずベッドから飛び起きていた。
やった！　今日はついに春菜の番だったんだ！

上半身を起こした状態で聞き入る。
どんな情報を得ることができるのか楽しみで、心臓がドキドキしている。
まるで大好きなアトラクションを今か今かと待っている順番待ちの子供になった気持ちだ。


【斎藤春菜さんと言えばよく食べる子！　というイメージですよね！　学校にいつもお菓子を持っていって、休憩時間になると取り出して食べる。だから彼女、ちょーっとぽっちゃりしてますね！】
< 162 / 194 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop