不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
家に戻ってから冷静になった優は怒りで震えたのかもしれない。
けれど私に直接危害を加えるわけにはいかないので、矛先は涼香へ向いたのだ。
それにしても今回はひどい。

涼香の髪の毛はすでに切られていて、ざんばら状態になっている。
それでも優はハサミを手放そうとしていないのだ。


「やめて!!」


涼香が涙目になって叫ぶ。
しかし優は聞く耳を持たない。
握りしめたハサミを再び涼香の髪の毛に当てる。


「やめてってば!」


涼香が必死に抵抗して手を振り回すものだから、ハサミが当たってあちこちから血が流れていく。
ちょっと、この状況はさすがにまずいんじゃないだろうか。

今日は春菜を尾行するための大切な日だ。
優の手を借りたいと思っていたのに、朝からこんな状態じゃさすがに難しい。


「今先生を呼びに行ってる」


涼香が私の不安を察したように言った。
先生とはきっと小高先生のことだろう。
あの人の動画はすでに拡散しているから、ちゃんと来てくれるかどうか怪しい。
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