不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
だけどそれを言うつもりはない。


「小高先生も来てなかったよね」

「そうだね」


私は頷く。
私が想像していた通り小高先生は教室へ来なかった。

先生がどうなってしまったのか理由を聞く前にあんな事件が起きてしまったから、まだなにもわからずじまいだ。


「こんなときだからさ、もっと明るい話をしようよ」


私は気を取り直すように言って微笑んだ。
春菜も、少し無理をして笑う。


「そうだね」

「春菜は最近、いいこととか、嬉しいことがあった?」


聞くと春菜は大人っぽく肩をすくめて「別に、普通かな?」と首を傾げた。


「嘘ばっかり。春菜には年上の彼氏がいるって噂を聞いたよ? それって本当なの?」


こちらから矢を向けてみると春菜はすぐに頬をピンク色に染めてうつむいた。


「本当なんだね?」

「うん。まぁね」
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