不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
胸の高鳴りを覚えて、私はスカートのポケットの上から握りしめた。
そこにはいつもどおりスマホが入っている。


「誰にも言わないから、教えてくれる?」


春菜はふるふると左右に首を振る。


「ダメ、言えない」

「だけど春菜、苦しそうだよ? 恋愛経験のない私が言うのも何だけど、恋愛って楽しいものなんじゃないの?」


そう聞くと春菜は顔を上げた。
その頬には一筋の涙がこぼれている。
罪悪感はちゃんと持っているみたいだ。


「……誰にも言わない?」


春菜が伺うような顔をこちらへ向ける。
私は大きく頷いた。

春菜は今、友だちでもなんでもない私相手に自分の重大な秘密を打ち明けてしまおうとしている。
それは今朝の衝撃がきっかけになったに違いない。
私は涼香と優のふたりに感謝した。


「実はね……」
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