不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
私の彼氏、妻子持ちなの。
その言葉を聞いた瞬間思わずにやけてしまった。

やった。
これで正広は私のものだ。

逸る気持ちを抑えて、深刻な表情を作る。


「本当に?」


春菜は頷いて、また膝の間に顔をうずめてしまった。


「で、でもそれって相手が悪いんだよね? 春菜に嘘をついて近づいてきたとか?」

「ううん、そんなんじゃない。私、最初から知ってた」

「……それでも好きになっちゃったんだね?」


春菜は頷く。


「気持ちを止められなかった。だけど、幸せだと感じたのは最初のほんの数日間だけでだんだん罪悪感が大きくなってきて、奥さんにバレたらどうしようとか、そんなことばかり考えるようになって、でもやっぱり好きだから別れられなくて……」


今まで1人でッカ得てきたせいか、1度告白してしまうと後はボロボロと本音がこぼれ落ちてくる。
私がなにも質問しなくても、春菜は相手のどこが素敵なのか、関係を持つ度にどれだけ辛くなるかを語り続けてくれた。


「そっか。春菜も辛い経験をしてるんだね」
< 173 / 194 >

この作品をシェア

pagetop