不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
☆☆☆

空き教室の掃除がどうにか終わったのはそれから30分も経過した後だった。
どうせ今日は授業にはならないし、他の生徒たちは今体育館に集合させられているようだ。

A組で事件を見ていた私達にはまだ警察の聴取が待っているから、ここで待機しなければならないらしい。
授業時間も休憩時間もなく、ただダラダラとした時間が過ぎていく。

このまま帰りたいと訴えるクラスメートたちも沢山いるけれど、学校から出ることは許されていなかった。
あまりにも暇で本でも読もうかとカバンを開けたとき、正広が教室を出ていく姿が見えた。

正広も今日の出来事で他のみんなと同じ様に少し疲れた顔をしている。
私は本を取り出す手を止めて正広について教室を出た。

正広はそのまま近くの男子トイレに入っていく。
私はトイレの近くで正広が出てくるのを待つことにした。

それから数寸後、正広がトイレから出てきていた。


「ねぇ、ちょっといい?」


話しかけると正広は少し驚いた表情を浮かべたけれど、すぐに「いいよ」と微笑んでくれた。
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