不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
聞こえてこない
先生や警察の人が言っていた通り、夜のニュース番組には大谷高校のことが大きく報道されていた。
画面いっぱいに学校の校舎が移されているのをみると、なんだか不思議な気分になる。


「イジメがあったんですって?」


夕飯のハンバーグを食べる手を止めて、母親が聞いてきた。


「うん。私は気が付かなかったけどね」


当然のように嘘をついて、ハンバーグを咀嚼する。


「麻衣子は大丈夫なんでしょうね? 誰かをイジメたり、イジメられたり、してないわよね?」


身を乗り出して質問してくる母親に笑ってしまいそうになる。
この人は今更なにを言ってるんだろう。

私には長い期間友だちなんていなかった。
大々的にイジメられることはなくても、誰からも見下されるような存在だった。

それに気がついていなかったんだ!
その様子が滑稽で、必死に笑いを噛み殺す。


「大丈夫だよ。なにも問題ないから」

「そう。それならいいんだけれど」


ホッとした様子で椅子に座り直している。
そんな様子を父親はぼんやりと見つめていた。
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