不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
☆☆☆
「行ってきます」
玄関から小さな声をかけても、洗い物をしている母親には届かない。
それを気にすることもなく、私は家を出た。
梅雨が開けてすぐの気温は朝から急上昇していて、家を出た瞬間からジリジリと肌を焼かれている。
私はできるだけうつむき、紫外線から顔を守るようにして歩き出す。
家から学校までは徒歩10分ほどの距離だから、自転車を使うこともできない。
私はうだるような暑さの中、学校がある日は毎日毎日ダラダラと歩いて通学する。
大谷高校2年A組が私の在籍している教室だった。
教室内は空調が効いていて、入るとようやくホッと肩の力を抜くことができた。
ここまで歩いてきたことで額には汗がじっとりと滲んできていて、私はそれを手の甲で拭った。
私の席は窓際の前から三番目の席で、春や秋は爽やかな風が入ってきていいけれど、冬と夏は寒かったり暑かったりして不評の席だ。
そんな席に文句も言わずに座り、鞄の中から教科書とノートを取り出し机の中に仕舞う。
これだけの作業を終えてしまえばあとはやることがなくなる。
私はしばらくぼんやりと外の景色を見ていたけれど、ホームルーム開始前にトイレへ行っておこうと思い至った。
登校してきている生徒たちの誰とも視線を合わせないよう、うつむき加減で教室を出てトイレへ向かう。
個室に入るとまた少し安心できた。
「行ってきます」
玄関から小さな声をかけても、洗い物をしている母親には届かない。
それを気にすることもなく、私は家を出た。
梅雨が開けてすぐの気温は朝から急上昇していて、家を出た瞬間からジリジリと肌を焼かれている。
私はできるだけうつむき、紫外線から顔を守るようにして歩き出す。
家から学校までは徒歩10分ほどの距離だから、自転車を使うこともできない。
私はうだるような暑さの中、学校がある日は毎日毎日ダラダラと歩いて通学する。
大谷高校2年A組が私の在籍している教室だった。
教室内は空調が効いていて、入るとようやくホッと肩の力を抜くことができた。
ここまで歩いてきたことで額には汗がじっとりと滲んできていて、私はそれを手の甲で拭った。
私の席は窓際の前から三番目の席で、春や秋は爽やかな風が入ってきていいけれど、冬と夏は寒かったり暑かったりして不評の席だ。
そんな席に文句も言わずに座り、鞄の中から教科書とノートを取り出し机の中に仕舞う。
これだけの作業を終えてしまえばあとはやることがなくなる。
私はしばらくぼんやりと外の景色を見ていたけれど、ホームルーム開始前にトイレへ行っておこうと思い至った。
登校してきている生徒たちの誰とも視線を合わせないよう、うつむき加減で教室を出てトイレへ向かう。
個室に入るとまた少し安心できた。