不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
小高先生はあくまでしらを切るつもりのようで、ポケットから鍵を取り出して更衣室のドアを閉めた。


「で、でも、小高先生がどうして女子更衣室の点検なんか……」

「いつも担当している先生に頼まれたんだよ。今日は早く帰る用事があるからって」


小高先生は私の言葉を途中で遮ってそういい切った。
その表情はどこか勝誇って見えて奥歯を噛みしめる。
このままでは言いくるめられてしまう。

私はスマホをグッと握りしめた。
さっきまでの様子はちゃんと録画してある。
ここでひるんだ様子を見せては更にナメられることになる。


「嘘ですよね。更衣室じゃなくて、ゴミ箱を確認してましたよね」


見ていたのだとアピールするために語尾を強くする。
小高先生は面倒くさそうに首をぐるっと回すと私を睨みつけてきた。


「ゴミ箱の中がいっぱいかもしれないから確認してたんだ。それのなにが悪い?」


言いながらジリジリとこちらへ近づいてくる。
私は一歩ずつ後退していき、すぐに廊下の壁に背中がぶつかった。
小高先生の視線が足から腰、胸へと這い上がるように移動してくる。
舐め回されているよう不快感に全身が泡立つのを感じる。


「残念だなぁ。顔がなぁ」


小高先生がため息交じりに呟き、そして蔑むように鼻で笑った。
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