不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
優たちのイジメはただのパフォーマンスだから、いつまでも続くものじゃない。
体育で機嫌が良くなっているから、きっとこのまま終わるだろう。


「ねぇ、なにかあったら相談してね? やっぱり、1人じゃキツイと思うし」


春菜は私の隣立って手を洗いながら言う。
本気で私のことを心配しているようで、戸惑ってしまった。

春菜と私には接点がほとんどない。
朝の挨拶をすることもないし、ただA組の生徒というだけだ。
今までだってこんな風に話し掛けられたことはなかった。


「どうして私のことを気にするの?」


気になった疑問をそのまま投げかけてみると、春菜は嬉しそうに微笑んだ。


「やっと話してくれたね」


そう言われてうつむく。
学校内ではほとんど無言で過ごしているから、そう思われても仕方ない。


「私も優の標的にされたことがあるからわかるんだよね。誰も助けてくれないし、辛いよね」


春菜は深刻な表情になって言う。
だけどきっと春菜の感じている辛さと私が感じている辛さは決定的に違う。

同じようなイジメ方だとしても、春菜は普段から友人がいて、私にはいない。
友人が助けてくれない苦しさを、私は知らなかった。
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