不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
停学処分
その日の放課後のホームルームの時間帯、小高先生から剣道部でイジメがあったことを全員に報告した。
留伊が教室にいる間にそんな報告をすれば、誰もが留伊が犯人だと勘ぐるはずだ。
それでもそういうやり方をしたのは、きっと私にアピールするつもりだったんだろう。
言われた問題はちゃんと解決させたと知らせてきているのだ。
優の視線が留伊へ向かうが、留伊は気がついていながら無視を決め込んでいる。
「剣道部のイジメってもしかして……」
「たぶん、そうだよね? 結構幅利かせてたらしいし」
「相手は後輩? 可愛そうだよねぇ」
ヒソヒソと、あちこちから囁き声が聞こえてくる。
その声が耳に入る度に優はうつむき、唇をかみしめている。
彼氏が後輩イジメをしていたことを恥ずかしいと感じているのかもしれない。
今まで自分が同級生たちにしてきたことを棚に上げて、被害者みたいな顔をしている。
私は内心フンッと鼻で笑う。
留伊がしてきたことを咎めることなんてできないくせに、都合のいい雌ブタだ。
とりあえず、これで優と涼香、優と留伊の関係がこじれてくれた。
優は気がついているだろうか。
自分にとって一番親しい人間たちが、どんどん遠ざかっていくことに。
私はこらえきれずにふふっと笑みをこぼしたのだった。