不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
優だ。
優はまだ登校してきていないようだけれど、留伊の停学処分についてはすでに知っているかもしれない。
優が今日1日どんな様子で過ごすのか見るのが楽しみだった。

と、その前にやることがあったんだった。
私は机からノートを取り出すと、一番後ろのページを1枚破った。
教卓に置いてあるペン立てから太いマジックを一本拝借して、左手で持つ。

それは優の机に整形ブスと書いたメモを入れたときと同じやり方だった。
優はまだ、あのメモを書いた犯人が私だとは気がついていない。
もしかしたら一生気が付かないかもしれない。

そんな愉快な気持ちになりながら、下手な文字でなぐり書きをしていく。


『中西留伊がイジメをしていたのはデマ。デマを流したのは久保涼香』


前回よりも長い文章だからバレないか少し心配だけれど、これを優の机に入れておかなければ意味がない。
涼香のデマ流しは優もよく知っていることだから、きっとこのメモを信じてくれるはずだ。

涼香のせいで彼氏の留伊が停学処分になったとわかった優は、どういう反応を見せるだろう。
今から楽しみで仕方がない。

私は自分の席を立ち、通り過ぎるフリをして優の机の前を通った。
そっとノートに書いたメモを机の中に入れてそのまま通り過ぎる。
こういうとき、存在が空気な自分が本当に役立っていると思う。
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