不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
☆☆☆

そのまま女子トイレに入って鏡で自分の顔を確認する。
思っていたとおり耳まで真っ赤だ。
これじゃ正広に自分の気持を知られてしまったかもしれない。


「どうしよう……」


両手で自分の頬を包み込んで呟く。
今まで片思いが実ったことは1度もない。

だから今回も期待はしてない。
でも……相手から挨拶してもらえたのだって、今回が初めての経験だったのだ。

今まで好きな人ができて、頑張って自分から話し掛けても無視されることばかりだった。
それなら挨拶だけでもと思っても、私が挨拶すると必ず嫌そうな顔をされた。

その時点で私の恋は終わるのだ。
なにもっしていないのと同じ状態のまま、なぜか相手に嫌がられて距離ができる。

それはきっと私がいてもいなくてもいいような、透明人間だからだろう。
クラス内でも目立たず、ほとんど口も開かない。

そんな暗い女子生徒に気に入られても相手は困るだけなんだろう。
私のような生徒よりも、優みたいに華やかな生徒に気に入られるほうがいいに決まっている。

それは私だって理解していた。
でも、少しでもいいから私自身を見てほしかった。
一緒にいて距離が近くなれば、私だって普通に会話できるようになる。
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