ヴァンパイアは自分の親友である妹を離さない
プロローグ


「翼…お前、女だったのか?」


「え?」


「…そんなわけねぇよな。
お前は一体誰なんだ?」


ワケあって、兄の格好をしていた私は初日で同居人に女だとバレました。


「俺、女は嫌いなんだ。いつもギャーギャーうるせぇし、何かあればすぐ泣くし。香水クセーのが一番やだね」


「私、香水なんかつけてな…っ」


「とにかく俺に近付くんじゃねぇ。
とっとと翼と会わせろ」


「……」


最初は散々の言われようで。

私は女だからって理由で嫌われていた。


なのに…


『俺を好きになれよ』


『え!?』


『お前は特別なんだ』

『お前からは甘いケーキみたいな匂いがする』

『俺から離れるな』


『っ……!』


何故かある日をキッカケに溺愛されるようになりました。


『お前の血は全部、俺だけのものだから』


私は捕まってしまった。


強くて、本当は誰よりも優しくて、壊れそうな、美しいヴァンパイアに。
< 1 / 68 >

この作品をシェア

pagetop