ヴァンパイアは自分の親友である妹を離さない
プロローグ
「翼…お前、女だったのか?」
「え?」
「…そんなわけねぇよな。
お前は一体誰なんだ?」
ワケあって、兄の格好をしていた私は初日で同居人に女だとバレました。
「俺、女は嫌いなんだ。いつもギャーギャーうるせぇし、何かあればすぐ泣くし。香水クセーのが一番やだね」
「私、香水なんかつけてな…っ」
「とにかく俺に近付くんじゃねぇ。
とっとと翼と会わせろ」
「……」
最初は散々の言われようで。
私は女だからって理由で嫌われていた。
なのに…
『俺を好きになれよ』
『え!?』
『お前は特別なんだ』
『お前からは甘いケーキみたいな匂いがする』
『俺から離れるな』
『っ……!』
何故かある日をキッカケに溺愛されるようになりました。
『お前の血は全部、俺だけのものだから』
私は捕まってしまった。
強くて、本当は誰よりも優しくて、壊れそうな、美しいヴァンパイアに。
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