ヴァンパイアは自分の親友である妹を離さない
「なんで?どうして、私の傷が治ってるんですか?」


「ヴァンパイアに舐められた傷跡は治るんだよ」


「やっぱり、夜桜先輩ってヴァンパイアだったんですね…」


「俺が怖いか?紫音」


女があれだけ苦手だって言ってた夜桜先輩が私に近付く。


いきなり名前を呼ばれてドクンと心臓が騒ぐ。


「怖くありません」


「ガキのくせに肝が据わってるな。俺の正体がわかったなら、翼が俺のせいで身体が弱くなったっていう誤解は解けただろ」


「そうですね。
誤解とはいえ、責めたりしてすみませんでした」


「謝罪なんか求めてない。
それよりお前、これからどうするつもりだ?」


「翼お兄ちゃんのフリを続けるつもりです」


「俺がほかの奴らにバラすと思わないのか?」


「夜桜先輩はそんなことする人じゃありません。
でも、もしも誰かに言うようなことがあれば、夜桜先輩がヴァンパイアだって他の人に言います」


「ククッ。おもしれー女」


「っ…」 


初めて笑った。
男の人なのに、なんて綺麗な笑顔なんだろう。

できることなら夜桜先輩の笑ったカオがもっと見たい。
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