ヴァンパイアは自分の親友である妹を離さない
「そういえばさっきの、白虎先輩って人は夜桜先輩がヴァンパイアだって知ってましたよね?」


「あぁ、まあな。白虎は色々とワケありでな。
ただ、白虎と翼以外の連中は俺がヴァンパイアだってことは知らねぇから」


「そう、なんですか」 


遠回しに、「だから他の人には黙ってろ」と聞こえた。


「夜も遅いし、お前はこのまま寝てろ」


「夜桜先輩は?」  


「俺は女が嫌いだって言っただろ。
女と同じ部屋で寝られるかバーカ」 


「なっ…!」


ちょっとは仲良くなれたかもって勘違いしたわたしが馬鹿だった!


翼お兄ちゃんは夜桜先輩が優しいって言ってたけど、本当にそうなのか疑うレベル。


優しいのは翼お兄ちゃん限定なんじゃ…。でも、さっきは白虎先輩にバレないように助けてくれたし。


私のことバカバカ言ってくるし!

どっちが本当の夜桜先輩か全然わかんない。


それにしても、今日は初日なのに色々あったなぁ。
明日から上手くやれるかな?


夜桜先輩は助けてくれるみたいなこと言ってたけどあんまり期待できないし。


翼お兄ちゃんの妹とはいえ、夜桜先輩にとっては赤の他人なわけだし。自分の身くらい自分で守らなきゃ。


そうしなきゃ、覚悟を決めてこの学園に来た意味がない。


翼お兄ちゃん。私、がんばるからね!

病院から見守ってて。


「あいつの血を飲んだだけで不安定だった瞳の色が安定してやがる。月城紫音。お前は一体何者なんだ……?」


月の下、夜桜蒼炎は今日出会った少女のことを思い出していた。
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