ヴァンパイアは自分の親友である妹を離さない
ガチャ。


「お前、まだいたのか」


「夜桜先輩?お、おかえりなさい」


夜桜先輩は、私と目が合うと嫌そうな顔を浮かべた。


「早く行かないと遅刻するぞ」


「そ、それがですね」


「まさか教室までの道がわからねぇっていうのか?」


「はい」


「はぁ……。まわりから怪しまれない程度に後ろからついてこい」


「ありがとうございます!」


見るからに不機嫌そうだったのに…。

優しいな。


「翼のためを思うなら、ここに来る前にある程度、翼に聞いてから来いよ」 


「すみません。私、とりあえず行動してから考えるタイプなんで。ところで、夜桜先輩は太陽に当たるの大丈夫なんですか?」


「フード被ってるから平気だ。大体、太陽が駄目なら昼間の学校に通ってねーよ」 


「そ、そうですよね」


「太陽に当たれば灰になるとか、ニンニクや十字架が駄目とかそんなのは昔の話だ。今のヴァンパイアはそれなりに耐性がある」


「それなら、銀の銃で心臓を撃たれても平気だったりします?」  


「……」


あ、れ?
夜桜先輩の歩くスピードが急に速くなった。

もしかして私、余計なこと言っちゃった?
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