ヴァンパイアは自分の親友である妹を離さない
「翼」


「ふぇ!?」


突然、夜桜先輩の顔が目の前に……!


改めて見るとめちゃくちゃ美形。整いすぎて逆に悪いとこを見つけるほうが大変なくらい。

私なんて男らしくて、女の子らしいところなんてないのに…。


「もうすぐ教室に着くぞ。それと、席は窓側の後ろから2番目な」


「あ、ありがとう。蒼炎」 


翼お兄ちゃんのフリをしろっていう合図だったんだ。でも、名前呼びはやっぱり緊張する。


「おはよう、月城」

「月城、何日か休んでたが大丈夫だったかー?」


「お、おはよう。ちょっと風邪引いてて」


「月城。いつもより声高めじゃね?」


「まだ完全に調子が戻ってなくてね」


クラスメイトに話しかけられた。挨拶くらいは出来るけど、そのほかの反応って難しいな。


口調くらいなら、翼お兄ちゃんをよく見てるからわかるけど。


声は気持ち低めに喋ってるけど、やっぱり本物の翼お兄ちゃんのようにはいかない。


見た目に関しては大丈夫そう…なのは安心だけど、女の子としては微妙なきもち。
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