ヴァンパイアは自分の親友である妹を離さない
「翼お兄ちゃん、実は……」


倒れたあと、病院に連絡してくれたのは親友さん。だけど、そこからの事情は何も知らないらしく。


元々、身体が弱いことも翼お兄ちゃんは親友さんに話していなかった。


優しい翼お兄ちゃんのことだ。親友さんに迷惑をかけたくなくて、いまの今まで黙っていたんだろう。


「翼の出席日数がギリギリなのは学校をよく休んでいたから、なんとなく察していたが、まさか進級も危ないとはな」


「そうなんです」


「だからってお前じゃ翼の代わりは無理だ。第一俺がむり」


「知らない人が同居人なんて嫌ですよね」


「そうじゃない」


「え?」


「俺は女が嫌いなんだ。
だから今すぐ俺の前から失せろ」


「そんなこと言わないでください!翼お兄ちゃんの単位が危ないんです。私が頑張らないと!!」


思わずガシッ!と、親友さんの腕を掴んでしまった。


「なら家から通えよ。大体、中学生に高校の勉強がわかるわけねぇだろ!つか離れろ!」


「ぎゃ!」


私は振り払われた衝撃でバランスを崩し、転んだ。
その拍子に右手をケガした。
< 5 / 68 >

この作品をシェア

pagetop