ヴァンパイアは自分の親友である妹を離さない
「んっ……」


「甘い、な」


吸血されるたびに、私を必要としてくれてるみたいで嬉しい。

付き合っていなくても、たとえ、わたしのことを好きじゃなくても、血を求めてくれるだけで今は満足。


翼お兄ちゃんの妹では無く、私として見てほしい。
もっと私をみて。

これからも私を頼ってください。夜桜先輩……。


女嫌いである夜桜先輩。けど、私の血は吸ってくれる。


これは自惚れていいのかな?

私は夜桜先輩にとって特別な女の子なんだって。


「今日はいつもより美味かった気がする。ありがとな紫音」


「どういたしまして」


「時間も遅いし、そろそろ帰…紫音?」


「寮母さんに怒られてもいいので、もう少しだけここにいていいですか?」


「ああ、いいぞ」


学園に戻れば、私はまた翼お兄ちゃんの代わりだから。今だけは、2人きりで誰も邪魔が入らないのなら…。

それならもうすこし、もう少しだけの間だけ女の子の私でいたい。


「アジサイが綺麗だったから、その…」


「必要以上に追求するつもりはねぇよ。お前がここにいたいっていうなら俺もいる。それだけだ」


「……」


どうしてそんなに優しいんだろう。

夜桜先輩が女嫌いで安心してる自分がいて。


こんな姿、誰にも見せたくない、な。
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