ヴァンパイアは自分の親友である妹を離さない
「大丈、夫か?……わかったら帰れ」


一瞬、私のことを心配そうにしていたが、けして私に手を差し伸べることはしなくて。


「ケガのこと、気にしなくて大丈夫ですから。そもそも、女嫌いな貴方に触れた私が悪いので。
高校生の男の人って怖いですもんね。私なんかじゃ翼お兄ちゃんの代わりになんてなれない…っ」


ケガした痛みなのか、それとも親友さんに兄の代わりは無理だと言われたから?


込み上げてきた感情で私は泣いてしまった。


親友さんもいきなり泣き出されたら困るよね。

それに女が嫌いって言ってたし。


「っ……!やめ、ろ」


「ごめん、なさい。すぐ涙ふきますので」


「そうじゃない!
…女は嫌いなはずなんだ、なのに!!」


ドサッ。


なんの音だろう?


気がつくと私の上には親友さんがいて…。
< 6 / 68 >

この作品をシェア

pagetop