ヴァンパイアは自分の親友である妹を離さない
「夜桜先輩、聞いてくれますか?
私が今まで隠してきた秘密を」


「あぁ」


寮に戻った私たち。

私は静かに自分の正体について話した。


世界に数人しかいない、特別な血の持ち主であること。


ヴァンパイアに狙われても自分の身を守れるようにと、ヴァンパイア殺しである十字架の瞳をもつこと。

これにより目を見たヴァンパイアは消滅すること。


契約したヴァンパイア以外は私を殺せないこと。

そして、私は老いることがなく、契約したヴァンパイア以外の手では死ぬことができないということ。


ほかにも様々な力を持っているが、全てを話すことはしなかった。


「そうか……。なぁ紫音」


「なんですか夜桜先輩」


きっとお別れなんだろうな。


別れ話は長いと未練が残るから、振るときはすっぱりと言ってほしいな。


それこそ嫌いになるくらいの強い言葉を。


「俺と契約しないか?」


「!?夜桜先輩私の話きいてました?」


「聞いた上でいってるんだ」


「契約したら私、夜桜先輩の手によって生死が…」


「お前は俺以外と契約して生死を握られたいのか?」


「それはいやですけど。でも…」


「俺はお前を殺さない。
死なせないために契約するんだ」


「ヴァンパイア殺しの目を持つ私と一緒にいたら夜桜先輩死んじゃう……!」


「死なない!お前の目は綺麗だ。
だから、さっきの見せろよ」


「だめっ、ダメですそんなの…」


いまにも涙が溢れそうになる。


怖がってないのは十分伝わった。


好きなのも痛いほどわかる。

だったらそれでいいでしょ?


もう終わりにしよう。私の目を見る必要はない。


だから私のこと…はやく嫌いになってよ。
夜桜先輩。
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