ヴァンパイアは自分の親友である妹を離さない
「蒼炎と契約したんだねぇ。ヴァンパイア殺しの目を出してオレを殺すつもりぃ?」


「そうだといったら?」


「それでキミはいいの?罪悪感は?優しいキミのことだ。それなりに翼と仲の良かった友人を殺すのは多少なりとも情がわくはず。そんなオレを殺せるの?」


「だから話し合いに来たんです」


「それに応じると思ってる?」


「ここに約1ヶ月分の私の血が瓶に入ってます。白虎先輩は私の血がほしくてたまらない。
それなら、これで交換条件としては十分でしょう?」


「おまっ、紫音……!」 


無茶をするなと言いたそうな目ですね。
蒼炎先輩。


血を取るのは注射器だから簡単だったけど、さすがに貧血気味にはなった。


今にも倒れそうだけど、私はまだ倒れるわけにはいかないから。


「直接吸わせない代わりに小瓶に入れたわけねぇ。本当は半年分くらい貰いたいところだけど、今回はいいよ。それで交渉に応じてあげる」


「ありがとうございます白虎先輩」


「でも忘れないこと。オレ以外にもキミを狙うヴァンパイアはいくらでもいることを」


「そんなのわかってますよ。でも蒼炎先輩が隣にいてくれたら私は大丈夫なので」


「そう。じゃあこれはもらっていくね?記憶は明日には全て消えてるからさ。またどこかで会う機会があればいいね、紫音ちゃん」


屋上から飛び降りて姿を消した白虎先輩。
あの高さからでも死ぬことはないだろう。
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