忘れられないドロップス
「俺はさ……有桜になんでもしてやりたいってゆーか、その……大事にしてやりたいっつうかさ……もう離れたくないからさ」

遥が私とのことをそんな風に考えていたなんて全然知らなかった。ソワソワしてた心はすぐにぎゅっとなる。

私は勇気を出して遥の腕にキュッとしがみついた。

「ん?どした?」

「私も……もう離れたくないから……」

私も精一杯の言葉を口にする。遥が私のことを大事に思ってくれるのと同じように私も遥を大事にしたい。いつも遥の心に寄り添っていたい。

そしてもう遥も私も哀しみに心が飲み込まれないように、二人で支え合って小さな恋の芽を大切にして愛情をかけてあげたい。

「へぇ、有桜にしては上出来だな」

遥の腕を握りしめている私の両手を見ながら、遥がにんまり笑う。

「恥ずかしいよ……あとあんまり……子供扱いしないで……」

「ばーか、するかよ。あんな、忘れんなよ、夜は俺の気の済むまでベッドだかんな」

「えっ……気がすむまでって……わっ」

そしてあっという間に私の唇からチュッと音がすると、遥がご機嫌で車のキーをクルクル回した。
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