忘れられないドロップス
見れば休日とあって小さな子供の手を引くお母さんや、ベビーカーを引いている家族連れも目立つ。
(いつか……俺と有桜も家族になれんのかな)
有桜との暮らしは毎日が愛おしい。一人きりで眠っていたベッドには毎晩有桜がいて、朝起きれば、有桜が作ってくれた朝ご飯を二人でたわいもない話をしながら食べる。
(幸せだな)
「遥、幸せだね」
思わず有桜を見下ろせば有桜がキョトンとこちらを向いている。そしてすぐ頬を桜色に染めた。
「あの、えと……ごめん。つい」
「なんであやまんの?」
「え?」
堪らなくなった俺は有桜が困らせるのが分かっているのにおでこにキスをひとつ落とした。
「わっ……は、遥っ……」
「同じこと考えてた有桜が悪いからな」
ワザと目を細めた俺を見ながら有桜の顔は真っ赤だ。
(かわい)
口に出して言ってもいいが、外でのスキンシップを極端に恥ずかしがる有桜を困らせたくなかった俺は繋いでいる掌にぎゅっと力を込めた。
真っ直ぐ行けばメインのお花見会場だが、人が多すぎる。ここから少し離れていて桜の樹も少ないが、そこなら人も少ないことを知っていた俺はそちらに向かって有桜と歩いて行く。
そして道が細く、溜池の近くに差し掛かった時だった。前から来た派手な女の二人組とすれ違いざまに俺の肩がぶつかった。
(いつか……俺と有桜も家族になれんのかな)
有桜との暮らしは毎日が愛おしい。一人きりで眠っていたベッドには毎晩有桜がいて、朝起きれば、有桜が作ってくれた朝ご飯を二人でたわいもない話をしながら食べる。
(幸せだな)
「遥、幸せだね」
思わず有桜を見下ろせば有桜がキョトンとこちらを向いている。そしてすぐ頬を桜色に染めた。
「あの、えと……ごめん。つい」
「なんであやまんの?」
「え?」
堪らなくなった俺は有桜が困らせるのが分かっているのにおでこにキスをひとつ落とした。
「わっ……は、遥っ……」
「同じこと考えてた有桜が悪いからな」
ワザと目を細めた俺を見ながら有桜の顔は真っ赤だ。
(かわい)
口に出して言ってもいいが、外でのスキンシップを極端に恥ずかしがる有桜を困らせたくなかった俺は繋いでいる掌にぎゅっと力を込めた。
真っ直ぐ行けばメインのお花見会場だが、人が多すぎる。ここから少し離れていて桜の樹も少ないが、そこなら人も少ないことを知っていた俺はそちらに向かって有桜と歩いて行く。
そして道が細く、溜池の近くに差し掛かった時だった。前から来た派手な女の二人組とすれ違いざまに俺の肩がぶつかった。