忘れられないドロップス
「くっついたり離れたり、あげくデキ婚とか、マジお騒がせ夫婦だよな。てか子供生まれたらどうなるんだろな……秋介のヤツ」

「今でも渚さんにベッタリだもんね」

「な、構ってもらえなくて寂しすぎて死ぬかもな。別にいいけど」

クスクス笑う私の掌を遥がクイっと握った。 

「ん?遥?」

「じゃあ有桜お待ちかねの花見いこうぜ」

「ほんと?連れて行ってくれるの?」

「ベッドでもいいけど?」

「もうー……」

「嘘。早く準備してこいよ」 

そう言うと遥がポケットからドロップスを取り出しまた口に放り込む。

「あれ遥?まだ渚さんに蹴られたとこ痛いの?」 

遥が私をコツンと突いた。

「ばーか。夜まで抱くの忘れてやんの」

途端に顔が熱くなる。遥が私の顎を持ち上げる。

「は……るか、あの」

「あんな、そんな顔されると忘れたくても忘れられなくなるだろ」 

「えと……その……お化粧してくるっ」

私は意地悪な顔をした遥にくるんと背を向けると真っ赤になりながら洗面所に駆け込んだ。
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