【完結】鍵をかけた君との恋
時の流れは止められない。期末試験の答案用紙が返されたかと思えば、明日からは冬休みへ突入する。一月に入ればもう、受験本番。
「ああ、めんどくさっ。校内の大掃除に受験生駆り出すなしっ」
ホウキに顎を乗せ、凛花は言った。廊下の隅から隅まで、私達の班はひたすらホコリを集める。
「乃亜、今日は何するの?」
「何って?」
「クリスマスイブじゃん。菊池勇太と過ごすの?プレゼント渡しあったりさ」
クリスマスプレゼント。それは、考えもしていなかった。
「勇太君は今日も塾だし、クリスマスを祝う約束なんかしてないよ」
「そっか。まあ、受験生なんてそんなものだよねー。私も妙海合格する為に、頑張らなきゃなあ」
妙海、陸の志望校。もしふたり共に合格すれば、凛花はこれからの三年間、毎日学校で彼を見られる。もやっとかかる、嫉妬の霧。
「凛花。陸も妙海志望だって知ってた?」
「え!そうなの?どっちかひとりだけ落ちたら、気まずっ」
「あははっ。それはどちらかと言えば陸の方でしょ。凛花は受かるよっ。そしたらバスケの試合、応援行くね」
「乃亜ぁ……」
ホウキを勢いよく放り投げた彼女は、私に飛びかかった。
「ありがとう!乃亜も絶対絶対、受かってね!高校別々でも、定期的に会おうね!」
「もちろんだよ」
乗り気じゃなかった大掃除の時間でさえ、貴重に感じてしまう瞬間だった。
帰宅して、勇太君からのメールに気付く。
『明日の夕方、会えないかな』
クリスマスという聖なる日を、一応気にしてくれているのだろうか。
彼に返事を送りつつ、冷蔵庫に飲み物を取りに行く。ガランとした冷蔵庫内。母が生きていた頃のこの時期は、チキンなど様々な食材で溢れていたのに。
パタンと冷蔵庫を閉める音が響く。私と父だけになったこの家に、何の行事もありはしない。
「ああ、めんどくさっ。校内の大掃除に受験生駆り出すなしっ」
ホウキに顎を乗せ、凛花は言った。廊下の隅から隅まで、私達の班はひたすらホコリを集める。
「乃亜、今日は何するの?」
「何って?」
「クリスマスイブじゃん。菊池勇太と過ごすの?プレゼント渡しあったりさ」
クリスマスプレゼント。それは、考えもしていなかった。
「勇太君は今日も塾だし、クリスマスを祝う約束なんかしてないよ」
「そっか。まあ、受験生なんてそんなものだよねー。私も妙海合格する為に、頑張らなきゃなあ」
妙海、陸の志望校。もしふたり共に合格すれば、凛花はこれからの三年間、毎日学校で彼を見られる。もやっとかかる、嫉妬の霧。
「凛花。陸も妙海志望だって知ってた?」
「え!そうなの?どっちかひとりだけ落ちたら、気まずっ」
「あははっ。それはどちらかと言えば陸の方でしょ。凛花は受かるよっ。そしたらバスケの試合、応援行くね」
「乃亜ぁ……」
ホウキを勢いよく放り投げた彼女は、私に飛びかかった。
「ありがとう!乃亜も絶対絶対、受かってね!高校別々でも、定期的に会おうね!」
「もちろんだよ」
乗り気じゃなかった大掃除の時間でさえ、貴重に感じてしまう瞬間だった。
帰宅して、勇太君からのメールに気付く。
『明日の夕方、会えないかな』
クリスマスという聖なる日を、一応気にしてくれているのだろうか。
彼に返事を送りつつ、冷蔵庫に飲み物を取りに行く。ガランとした冷蔵庫内。母が生きていた頃のこの時期は、チキンなど様々な食材で溢れていたのに。
パタンと冷蔵庫を閉める音が響く。私と父だけになったこの家に、何の行事もありはしない。