【完結】鍵をかけた君との恋
放課後。図書館で勇太君と待ち合わせた。
「乃亜大丈夫?始業式も、けっこう眠そうだったけど」
半分も目が開かぬ私に、彼は眠気覚ましのガムをくれた。
「ありがとう。すっかり冬休み中に昼夜逆転しちゃった。早く治さないとなあ」
「試験は午前だから、朝にモチベーション持って行った方がいいよ」
窓際の席に並んで座り、参考書を開く。
受験までもうすぐということは、こうして彼とふたりで会うのも、あと三週間もしないで終わりということだ。
受験が終わるまででもいい……その時までに乃亜の心を救えない情けない男なら、そんな奴、手放してくれていいから。
勇太君の言葉を思い出す。
彼を情けない男だと思ったことは一度もない。ただ私が、彼を本気で好きになれなかった。
思えば去年の夏からずっと、私の隣には彼がいた。幼馴染でも親戚でもない彼とは、中学を卒業すればほとんど会わなくなるだろう。受験後別れたら、そこで終わり。気まずさを乗り越えて友達に戻る、なんてこともないかもしれない。
「乃亜」
勇太君に名を呼ばれ、現実に引き戻される。
「ボーッとしてる。やっぱ眠いんだね」
「ああ、うん……」
「今日は早めに切り上げよっか。家でゆっくり休んでよ」
本当に、終わりだ。
「乃亜大丈夫?始業式も、けっこう眠そうだったけど」
半分も目が開かぬ私に、彼は眠気覚ましのガムをくれた。
「ありがとう。すっかり冬休み中に昼夜逆転しちゃった。早く治さないとなあ」
「試験は午前だから、朝にモチベーション持って行った方がいいよ」
窓際の席に並んで座り、参考書を開く。
受験までもうすぐということは、こうして彼とふたりで会うのも、あと三週間もしないで終わりということだ。
受験が終わるまででもいい……その時までに乃亜の心を救えない情けない男なら、そんな奴、手放してくれていいから。
勇太君の言葉を思い出す。
彼を情けない男だと思ったことは一度もない。ただ私が、彼を本気で好きになれなかった。
思えば去年の夏からずっと、私の隣には彼がいた。幼馴染でも親戚でもない彼とは、中学を卒業すればほとんど会わなくなるだろう。受験後別れたら、そこで終わり。気まずさを乗り越えて友達に戻る、なんてこともないかもしれない。
「乃亜」
勇太君に名を呼ばれ、現実に引き戻される。
「ボーッとしてる。やっぱ眠いんだね」
「ああ、うん……」
「今日は早めに切り上げよっか。家でゆっくり休んでよ」
本当に、終わりだ。