【完結】鍵をかけた君との恋
『試験行ってきまーす!乃亜も頑張って!』
受験当日、朝の電車内。はつらつとした凛花のメールに、鼓舞される。
『私も行ってくる!お互い頑張ろうね!』
空席に座らないのは緊張のせいなのか。流れゆく街並みを、私は窓際で眺めていた。
『隣の陸も、応援してるってさ!』
そしてそれに対する返信に手間取ってしまうのも、おそらく緊張のせいだ。
『はーい。サンキュー』
見慣れた街が、遠ざかる。
同じ時、同じ空の下で目標は一緒なのに、電車が違うというだけで、こんなにも離れ離れに感じてしまう陸との距離。
私の鞄についたふたつの御守りは、電車に揺れて、時折チリンと重なった。
「神様、ありがとうございましたっ」
合格発表当日、陸と私は神社にいた。
「お前、律儀だな」
「だってこのアホな私達が合格できたのは、元旦にここでお願いしたからだよ?ほら、陸も手合わせて御礼言って!」
「はいはい」
そう言うと、陸は渋々手合わせ目を閉じた。私も瞼を下ろし、手を合わせる。
真っ暗な視界の中、彼の声はすぐにした。
「もういい?」
「まだ」
「えー。まだかよ」
「早過ぎ」
「………もういい?」
「もうちょっと!」
もうちょっと。もうちょっとだけ、こうしていようよ。
受験当日、朝の電車内。はつらつとした凛花のメールに、鼓舞される。
『私も行ってくる!お互い頑張ろうね!』
空席に座らないのは緊張のせいなのか。流れゆく街並みを、私は窓際で眺めていた。
『隣の陸も、応援してるってさ!』
そしてそれに対する返信に手間取ってしまうのも、おそらく緊張のせいだ。
『はーい。サンキュー』
見慣れた街が、遠ざかる。
同じ時、同じ空の下で目標は一緒なのに、電車が違うというだけで、こんなにも離れ離れに感じてしまう陸との距離。
私の鞄についたふたつの御守りは、電車に揺れて、時折チリンと重なった。
「神様、ありがとうございましたっ」
合格発表当日、陸と私は神社にいた。
「お前、律儀だな」
「だってこのアホな私達が合格できたのは、元旦にここでお願いしたからだよ?ほら、陸も手合わせて御礼言って!」
「はいはい」
そう言うと、陸は渋々手合わせ目を閉じた。私も瞼を下ろし、手を合わせる。
真っ暗な視界の中、彼の声はすぐにした。
「もういい?」
「まだ」
「えー。まだかよ」
「早過ぎ」
「………もういい?」
「もうちょっと!」
もうちょっと。もうちょっとだけ、こうしていようよ。