【完結】鍵をかけた君との恋
川沿いは行かない。彼女持ちの陸と長く過ごす必要はない。
「お前スカート短くね?金髪にミニスカート、危ねえよ」
「そんなことないよ。うちの学校、みんなこのくらいだもん」
「変な男寄ってくんぞ」
足元の小石をひとつ蹴って、陸はそう言った。
「大丈夫。今日も友達の双葉って子だけが番号聞かれてて、私なんか相手にされなかった」
「へぇ、可愛いのその子?そりゃ、盾になっていいな」
普通に話せている自分に、少し驚く。
「楓は元気?」
「元気。あいつ最近、彼氏できたらしいぞ」
「うそ!私の楓がお嫁にいっちゃったあ〜」
「結婚してねぇよ」
こうしていつも通り会話ができるのは、私の努力では決してなくて、どんな機嫌の私を前にしても、常にブレずにいてくれる陸のお陰だ。
家のマンションが見えてきて、さようならまであと少し。咳を払って喉を整える。
「陸、ごめんね」
「何が」
「昨日の電話。心配してくれてたのに、態度悪くしちゃって」
「あーべつに、気にしてねーけど」
ぶっきらぼうな優しさに、また涙が出そうになってしまう。
「凛花のこと大事にしてね。あの子の初めての恋だから、私、めちゃんこ応援してる」
「……ん」
「私と陸はさ、これからもずーっと幼馴染ね。時々こうやって、近況報告でもしようよ」
「おう……そうだな」
陸は、私の心を読むなど簡単だろうから、私が涙を堪えたことくらい、わかったと思う。だけどもう、泣きそうな私を抱きしめはしない。彼が確実に、前へと進んでいる証拠だ。
エントランスで陸に背を向けた途端、下瞼すぐそこまできていた涙はあっという間に地に落ちた。だけどこれは、悲しみの涙なんかじゃなくて。
「陸……っ」
募る愛しさを流す涙だ。
「お前スカート短くね?金髪にミニスカート、危ねえよ」
「そんなことないよ。うちの学校、みんなこのくらいだもん」
「変な男寄ってくんぞ」
足元の小石をひとつ蹴って、陸はそう言った。
「大丈夫。今日も友達の双葉って子だけが番号聞かれてて、私なんか相手にされなかった」
「へぇ、可愛いのその子?そりゃ、盾になっていいな」
普通に話せている自分に、少し驚く。
「楓は元気?」
「元気。あいつ最近、彼氏できたらしいぞ」
「うそ!私の楓がお嫁にいっちゃったあ〜」
「結婚してねぇよ」
こうしていつも通り会話ができるのは、私の努力では決してなくて、どんな機嫌の私を前にしても、常にブレずにいてくれる陸のお陰だ。
家のマンションが見えてきて、さようならまであと少し。咳を払って喉を整える。
「陸、ごめんね」
「何が」
「昨日の電話。心配してくれてたのに、態度悪くしちゃって」
「あーべつに、気にしてねーけど」
ぶっきらぼうな優しさに、また涙が出そうになってしまう。
「凛花のこと大事にしてね。あの子の初めての恋だから、私、めちゃんこ応援してる」
「……ん」
「私と陸はさ、これからもずーっと幼馴染ね。時々こうやって、近況報告でもしようよ」
「おう……そうだな」
陸は、私の心を読むなど簡単だろうから、私が涙を堪えたことくらい、わかったと思う。だけどもう、泣きそうな私を抱きしめはしない。彼が確実に、前へと進んでいる証拠だ。
エントランスで陸に背を向けた途端、下瞼すぐそこまできていた涙はあっという間に地に落ちた。だけどこれは、悲しみの涙なんかじゃなくて。
「陸……っ」
募る愛しさを流す涙だ。