【完結】鍵をかけた君との恋
「はい、これ」
私をベンチに座らせると、彼はその足で自動販売機に走って行った。
「体冷えちゃってるから、温かいやつね」
ホットの缶を受け取って、それを両手の平で抱えて暖をとる。
「これで大丈夫だったかな。前も乃亜、ブラックだったから」
その柔らかな表情とは裏腹に、彼の拳は腿の横、ぎゅっと強く握られていた。
「勇太君、座らないの?」
ベンチの端に身を寄せて、座面を二回叩いて言った。
「勇太君?」
けれど、彼は耳にしていないよう。
「乃亜」
突如真剣な眼差しで名を呼ばれ、背筋が伸びる。
「うん?」
彼はその瞳のままに、喋り出す。
「今日、乃亜が来なかったら言うのやめようと思ってたんだけど……乃亜来てくれたからさ。だから、話してもいい?」
「うん」
「この夏休み中ね、乃亜と会えるこの時間が本当楽しみだった。いつの間にか勉強の為じゃなくって俺、乃亜と会う為に図書館へ来てた。新学期が始まったら、もうこんな時間がなくなるんだと思って嫌になって、苦しくなって、昨日眠れなかったよ。ああ、俺はまだ乃亜とこうしていたいんだなって、気付かされた」
ゆっくりと片膝を床につけた彼は、私の手に自身の手を重ねて置いた。
「乃亜が好きです。俺と付き合って下さい」
その姿はまるで、お伽話に出てくる王子様のようだった。
私をベンチに座らせると、彼はその足で自動販売機に走って行った。
「体冷えちゃってるから、温かいやつね」
ホットの缶を受け取って、それを両手の平で抱えて暖をとる。
「これで大丈夫だったかな。前も乃亜、ブラックだったから」
その柔らかな表情とは裏腹に、彼の拳は腿の横、ぎゅっと強く握られていた。
「勇太君、座らないの?」
ベンチの端に身を寄せて、座面を二回叩いて言った。
「勇太君?」
けれど、彼は耳にしていないよう。
「乃亜」
突如真剣な眼差しで名を呼ばれ、背筋が伸びる。
「うん?」
彼はその瞳のままに、喋り出す。
「今日、乃亜が来なかったら言うのやめようと思ってたんだけど……乃亜来てくれたからさ。だから、話してもいい?」
「うん」
「この夏休み中ね、乃亜と会えるこの時間が本当楽しみだった。いつの間にか勉強の為じゃなくって俺、乃亜と会う為に図書館へ来てた。新学期が始まったら、もうこんな時間がなくなるんだと思って嫌になって、苦しくなって、昨日眠れなかったよ。ああ、俺はまだ乃亜とこうしていたいんだなって、気付かされた」
ゆっくりと片膝を床につけた彼は、私の手に自身の手を重ねて置いた。
「乃亜が好きです。俺と付き合って下さい」
その姿はまるで、お伽話に出てくる王子様のようだった。