【完結】鍵をかけた君との恋
「レクリエーション大会?」
「うん、並河高校でやるんだって。乃亜ちゃん一緒に行こうよ」

 森君が通う高校との交流会。そういえば以前そんなことを、彼が言っていたかもしれない。双葉と私は揃って参加用紙に記入した。


「レクリエーション大会、俺も参加するよ」

 バイトの帰り道、森君に誘われゲームセンターへとやって来た。

「マルバツゲームは毎年難しいって噂だぞ。気をつけろ」
「あははっ。どう気をつければいいの」

 彼がプレイしたいと言った戦闘ゲームまで向かう途中、私の足はふと、一台のクレーンゲーム機の前で立ち止まる。ケースの中にはあの魚のぬいぐるみが数匹いた。

 森君が言う。

「これ、妖怪魚戦争のキャラクターじゃん」
「よ、妖怪?この魚、妖怪なの?」
「うん。ゲームの妖怪だよ」

 これに似ていると言われた私って一体。

「この魚、ぼけっとした顔してるけどけっこう強くてさ、俺まだ一回も倒せてないわ。口から泥みたいな気持ち悪いの出してくるんだよ。それにあたると一発で死ぬ」

 陸との淡い思い出が複雑な色へと変わろうとしたその時、背後からは声がした。

「あれ、乃亜と森君じゃーん」
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