【完結】鍵をかけた君との恋
午前のうちに終わった大会は、私達桜橋高校が勝利した。メダル代わりのタオルを首にかけ、双葉と駅までの道を歩く。
「ねえ、借り物競争の時の彼って誰?乃亜ちゃんの長所、超さらさら言えてたじゃんっ」
「この前話した幼馴染」
「乃亜ちゃんの好きだっていう?」
「そう」
先ほど得たパンを頬張りながら、彼女は言った。
「直感だけど、まだ頑張ればいけそうな気がする。彼には彼女がいるって言ってたけど、乃亜ちゃんがアタックすれば付き合えるよ絶対」
うん、と大きく頷いて、背中を押そうとしてくれる彼女。だけど押されてはいけない理由がある。
「この前も言ったけど、彼の恋人は私の親友だもん。だから応援してあげたい」
「愛情より友情ってやつだよね。乃亜ちゃんもそっちタイプだもんね」
乃亜ちゃん「も」。引っかかった私が問うより先に、彼女は遠くを見つめて話し出す。
「それ、私の好きな人と一緒の理由だよ。彼の断り文句はいつも『親友の好きな子とは付き合えない』。そう言ってフラれるの。でもそんなのこっちは納得いかないよ。本当は両思いかもしれないのに、気持ちも教えてくれないまま、時間だけが過ぎて」
「でも」と反論しようとした私の口には「だから」と食べかけのパンを押し込まれた。
「自分の気持ちに嘘をつかないでよ、乃亜ちゃん。友情の方が大事とか、もう諦めなきゃいけないとか、そんなんじゃなくて。どっちにも本気で向き合えばいいじゃん」
その言葉は、グサッと私の心に突き刺さる。パンを懸命に飲み込んで、彼女に聞いた。
「双葉はさ、何度も何度もフられた相手を諦めて前を向こうとしてる時に、今更やっぱり好きだ付き合おうって言われたら、ムカつかないの?」
想像してみたのか、束の間彼女は空を見上げた。そして私へ視線を戻したその時は、向日葵みたいな笑顔だった。
「すっごい嬉しい。だってそんなの、夢みたいっ」
「ねえ、借り物競争の時の彼って誰?乃亜ちゃんの長所、超さらさら言えてたじゃんっ」
「この前話した幼馴染」
「乃亜ちゃんの好きだっていう?」
「そう」
先ほど得たパンを頬張りながら、彼女は言った。
「直感だけど、まだ頑張ればいけそうな気がする。彼には彼女がいるって言ってたけど、乃亜ちゃんがアタックすれば付き合えるよ絶対」
うん、と大きく頷いて、背中を押そうとしてくれる彼女。だけど押されてはいけない理由がある。
「この前も言ったけど、彼の恋人は私の親友だもん。だから応援してあげたい」
「愛情より友情ってやつだよね。乃亜ちゃんもそっちタイプだもんね」
乃亜ちゃん「も」。引っかかった私が問うより先に、彼女は遠くを見つめて話し出す。
「それ、私の好きな人と一緒の理由だよ。彼の断り文句はいつも『親友の好きな子とは付き合えない』。そう言ってフラれるの。でもそんなのこっちは納得いかないよ。本当は両思いかもしれないのに、気持ちも教えてくれないまま、時間だけが過ぎて」
「でも」と反論しようとした私の口には「だから」と食べかけのパンを押し込まれた。
「自分の気持ちに嘘をつかないでよ、乃亜ちゃん。友情の方が大事とか、もう諦めなきゃいけないとか、そんなんじゃなくて。どっちにも本気で向き合えばいいじゃん」
その言葉は、グサッと私の心に突き刺さる。パンを懸命に飲み込んで、彼女に聞いた。
「双葉はさ、何度も何度もフられた相手を諦めて前を向こうとしてる時に、今更やっぱり好きだ付き合おうって言われたら、ムカつかないの?」
想像してみたのか、束の間彼女は空を見上げた。そして私へ視線を戻したその時は、向日葵みたいな笑顔だった。
「すっごい嬉しい。だってそんなの、夢みたいっ」