【完結】鍵をかけた君との恋
 双葉と別れ、コンビニで立ち読みをしていると、目の前の窓ガラスにぬるっと人影。

「ひゃっ!」

 図らずとも狂う声。悪戯に成功して喜ぶ少年、陸と目が合った。

「何読んでんの?」と、彼は店内に入ってくる。

「ただの週刊誌。森君達と遊んでたんじゃないの?」
「さくっと飯食って別れた。今日はみんな、午後に予定があるんだって」

 そのまま奥に進んだ陸は、買い物をし始めた。私はわりと好きな芸能人のゴシップ記事に夢中だった。


「ほいっ」
「ひゃっ!」

 今度は首筋にあたった熱い何かに、素っ頓狂な声が出る。

「乃亜の分も買ったぞ。外カフェするべ」

 陸とホットブラックコーヒーのセットほど、贅沢なものはない。
< 170 / 197 >

この作品をシェア

pagetop