【完結】鍵をかけた君との恋
川辺のベンチに座り、コーヒーで乾杯。夏でもこの場所は、幾らか涼しい。
「陸さ、並河高校の合同レク相手が、私の高校だって知ってたの?」
「いや?知らんかったけど乃亜目立つもん。金髪ロング」
「まだ金髪まで明るくなってないでしょ」
「色抜けすぎ。もうこれ、金髪だよ」
川風に靡く私の髪を、陸が指で掬って取った。
「そういうの……しない方がいいと思うけど。凛花に悪い」
ただでさえもう、罪悪感でいっぱいなのに。
おもむろに、その指を離した陸は言う。
「俺、凛花に魚のぬいぐるみ、あげてねえから」
ゲームセンター傍で蹲る私を、彼は目撃している。そのさまから私の心情を、察したのだろうか。
「全然やらない俺に痺れ切らせた凛花が、自分で取ってた。アイツうまいのな、一発目で成功してたよ。ノアギョ人気らしいぜ?調べたら即ヒットした」
陸は凛花にプレゼントを贈っていなかった。制御の利かぬ心が、口を滑らせる。
「私、陸に言いたいことがある。今は言えないから、今度言う」
捲し立てるような口調の私に、陸は唖然し、笑っていた。
「なんだよそれ、気になるじゃんか。今言えよ」
「今度」
「はあ?無理」
立ち上がる陸。私の真向かいにしゃがみ込み、上目で見つめてくる。
「乃亜、言って」
喉まで出かかっているこの言葉は、今はまだ言うべきではない。凛花と向き合う覚悟が決められない。それなのに、陸へのこの強い想いが今すぐにでも空気に触れてしまいそうで困ってしまう。
「乃亜お願い、言って」
大好きな人に大好きと伝えたい。箱の中にしまったふたりの恋を、取り出したい。
「わ、私……」
でも今は。
「私──」
「陸さ、並河高校の合同レク相手が、私の高校だって知ってたの?」
「いや?知らんかったけど乃亜目立つもん。金髪ロング」
「まだ金髪まで明るくなってないでしょ」
「色抜けすぎ。もうこれ、金髪だよ」
川風に靡く私の髪を、陸が指で掬って取った。
「そういうの……しない方がいいと思うけど。凛花に悪い」
ただでさえもう、罪悪感でいっぱいなのに。
おもむろに、その指を離した陸は言う。
「俺、凛花に魚のぬいぐるみ、あげてねえから」
ゲームセンター傍で蹲る私を、彼は目撃している。そのさまから私の心情を、察したのだろうか。
「全然やらない俺に痺れ切らせた凛花が、自分で取ってた。アイツうまいのな、一発目で成功してたよ。ノアギョ人気らしいぜ?調べたら即ヒットした」
陸は凛花にプレゼントを贈っていなかった。制御の利かぬ心が、口を滑らせる。
「私、陸に言いたいことがある。今は言えないから、今度言う」
捲し立てるような口調の私に、陸は唖然し、笑っていた。
「なんだよそれ、気になるじゃんか。今言えよ」
「今度」
「はあ?無理」
立ち上がる陸。私の真向かいにしゃがみ込み、上目で見つめてくる。
「乃亜、言って」
喉まで出かかっているこの言葉は、今はまだ言うべきではない。凛花と向き合う覚悟が決められない。それなのに、陸へのこの強い想いが今すぐにでも空気に触れてしまいそうで困ってしまう。
「乃亜お願い、言って」
大好きな人に大好きと伝えたい。箱の中にしまったふたりの恋を、取り出したい。
「わ、私……」
でも今は。
「私──」