【完結】鍵をかけた君との恋
プルルルル。
助けてくれたのは、陸のポケットから響いた着信音。プルルプルルと、何度か鳴る。
「で、出て、陸」
「やだ。お前が言ってくれるまでは出ない」
「凛花だったら私、後悔する。だから出て」
逸らさぬ視線、真剣な顔。だけど十回も聞き流してしまえば、申し訳なさが勝つ。
「あーもう!」
地面に足を叩きつけて立ち上がり、陸は通話ボタンをタップした。
「もしもし。あー、今は外。テレビ電話?できねえよ。外じゃ恥ずい」
電話の向こうには凛花がいる。そう悟った。
「遊園地のチケット?」
デートの誘いだと思ったけれど、どうやら少し、違うらしい。
「いや、森は来ると思うよ。だけどなんでそこに乃亜なの?森と付き合ってるわけでもねえじゃん。それじゃまるで、乃亜と森をくっつけ──」
最後まで言い切れずに、陸は歯痒い顔で画面を見る。私は自分の名が出た理由を聞く。
「陸と凛花、遊園地行くの?そこに私と森君も?」
頭をがしがし掻く陸は、不機嫌そうにベンチへ座った。
「なんか、無料チケットがあるとかなんとかで。夏休み初日、乃亜と森も誘って四人で行こうって。凛花の奴、心のどっかでお前等を付き合わせたがってんだよなぁ」
陸は小さく舌を打つ。そんな彼の仕草に一瞬だけど、期待を寄せた。もしかすると陸はまだ、前へ進みきれていないのではないかと。
「どうしよう。私、凛花に誘われるんだよね?」
陸と凛花のセットは見たくない。だけど純粋に、陸と遊園地に行ってみたい。そんな葛藤を抱え悩み出した私に、彼は容赦なく爆弾を投げつけてきた。
「誘われても断れよ。どうして俺達カップルのとこに乃亜が来るんだよ」
その爆弾は豪快に爆発すると、私のてっぺんからも湯気を出す。
「カップル、ね……あっそ。私もじゃあ、森君と仲良しこよしで行けばいいね」
「はぁ?」
「そっちはそっちで凛花とラブラブやればいいじゃん。私は森君とずっと喋ってるし」
「うわあ、なんだよそれ行きたくねえ。意味わかんねえその四人組」
「その日ふたりでバイト休んだら、店長に怪しまれちゃうかなあ。あ、陸には言ってなかったけど私、森君と同じとこでバイトしてるんだよね」
「聞いてねえ、知らねえ、なんだよそれっ」
こんなにも怒りに満ちているのにもかかわらず、会話の合間合間に感じた陸の嫉妬のようなものが、全身をくすぐっていた。
助けてくれたのは、陸のポケットから響いた着信音。プルルプルルと、何度か鳴る。
「で、出て、陸」
「やだ。お前が言ってくれるまでは出ない」
「凛花だったら私、後悔する。だから出て」
逸らさぬ視線、真剣な顔。だけど十回も聞き流してしまえば、申し訳なさが勝つ。
「あーもう!」
地面に足を叩きつけて立ち上がり、陸は通話ボタンをタップした。
「もしもし。あー、今は外。テレビ電話?できねえよ。外じゃ恥ずい」
電話の向こうには凛花がいる。そう悟った。
「遊園地のチケット?」
デートの誘いだと思ったけれど、どうやら少し、違うらしい。
「いや、森は来ると思うよ。だけどなんでそこに乃亜なの?森と付き合ってるわけでもねえじゃん。それじゃまるで、乃亜と森をくっつけ──」
最後まで言い切れずに、陸は歯痒い顔で画面を見る。私は自分の名が出た理由を聞く。
「陸と凛花、遊園地行くの?そこに私と森君も?」
頭をがしがし掻く陸は、不機嫌そうにベンチへ座った。
「なんか、無料チケットがあるとかなんとかで。夏休み初日、乃亜と森も誘って四人で行こうって。凛花の奴、心のどっかでお前等を付き合わせたがってんだよなぁ」
陸は小さく舌を打つ。そんな彼の仕草に一瞬だけど、期待を寄せた。もしかすると陸はまだ、前へ進みきれていないのではないかと。
「どうしよう。私、凛花に誘われるんだよね?」
陸と凛花のセットは見たくない。だけど純粋に、陸と遊園地に行ってみたい。そんな葛藤を抱え悩み出した私に、彼は容赦なく爆弾を投げつけてきた。
「誘われても断れよ。どうして俺達カップルのとこに乃亜が来るんだよ」
その爆弾は豪快に爆発すると、私のてっぺんからも湯気を出す。
「カップル、ね……あっそ。私もじゃあ、森君と仲良しこよしで行けばいいね」
「はぁ?」
「そっちはそっちで凛花とラブラブやればいいじゃん。私は森君とずっと喋ってるし」
「うわあ、なんだよそれ行きたくねえ。意味わかんねえその四人組」
「その日ふたりでバイト休んだら、店長に怪しまれちゃうかなあ。あ、陸には言ってなかったけど私、森君と同じとこでバイトしてるんだよね」
「聞いてねえ、知らねえ、なんだよそれっ」
こんなにも怒りに満ちているのにもかかわらず、会話の合間合間に感じた陸の嫉妬のようなものが、全身をくすぐっていた。