【完結】鍵をかけた君との恋
 カクカクとロボットのように振り向けば、真顔の勇太君が立っていた。
 ピリリと張り詰める空気。私ひとり、狼狽え出す。

「ち、ちがうのっ。これは凛花が勝手に言ってることでっ」

 いつからいた、どこから聞いていた。焦れば焦るほどに、口は上手くまわらない。
 彼はそんな私のさまを見て、柔和に笑った。

「あははっ。乃亜は朝から賑やかだね」

 その言葉にも何を返せばいいのか困った私は、とりあえずもう一度、凛花の頭を叩いておいた。

 昨日。「はい」と勇太君の手をとった。彼は驚いたように、そして嬉しそうに「ありがとう」を口にした。彼は確かに、私のことが好きなのだと思う。けれどその気持ちは、一時的なものだろう。

 恋心など続かない、愛などいつか冷める。例え愛し合えたとしても、終わりというものはやってくる。だから恋愛なんて、本気で好きな人とするものじゃない。
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