【完結】鍵をかけた君との恋
「乃亜、一緒に帰ろ?」
放課後すぐ、勇太君は私の席へ来た。
「一緒にって言っても、勇太君の家と私の家、反対方向だよね?」
「そうだけど、俺が遠回りして帰るよ。じゃないと乃亜と一緒に帰れないし」
真っ直ぐ素直な言葉。きっと彼を心底好きな子だったら、飛んで喜ぶのだろう。
彼と手繋ぎ廊下を歩いていると、ふとあることに気付いてしまう。それは、周りの生徒達の視線。
これはある意味お披露目会だ。新学期早々、校内を仲良く並んで歩いていたら、誰がどう見ても夏休み中に結ばれたカップルだ。
「あ」
勇太君と私の数メートル先、友達数人と会話をしている陸の姿が見えた。
「ゆ、勇太君っ。西の階段から行かない?」
「え、なんで?東の方が近いよ?」
「な、なんとなく!いいから行こっ」
半ば強引に彼を反転させて、背中を押した。
どうか気付かれていませんように、と願いを込めて一度だけ振り返ったのに、ばっちりと合ってしまった陸との視線。それはまるで槍の如く、鋭いものだった。
放課後すぐ、勇太君は私の席へ来た。
「一緒にって言っても、勇太君の家と私の家、反対方向だよね?」
「そうだけど、俺が遠回りして帰るよ。じゃないと乃亜と一緒に帰れないし」
真っ直ぐ素直な言葉。きっと彼を心底好きな子だったら、飛んで喜ぶのだろう。
彼と手繋ぎ廊下を歩いていると、ふとあることに気付いてしまう。それは、周りの生徒達の視線。
これはある意味お披露目会だ。新学期早々、校内を仲良く並んで歩いていたら、誰がどう見ても夏休み中に結ばれたカップルだ。
「あ」
勇太君と私の数メートル先、友達数人と会話をしている陸の姿が見えた。
「ゆ、勇太君っ。西の階段から行かない?」
「え、なんで?東の方が近いよ?」
「な、なんとなく!いいから行こっ」
半ば強引に彼を反転させて、背中を押した。
どうか気付かれていませんように、と願いを込めて一度だけ振り返ったのに、ばっちりと合ってしまった陸との視線。それはまるで槍の如く、鋭いものだった。