【完結】鍵をかけた君との恋
歪
勇太君とは別れよう。そう決めた。
「え!別れんの!?」
デリカシーに欠けた声が、放課後の階段で反響した。
「ちょっと凛花、声大きいっ」
「だ、だって昨日の感じだと、もう少し様子見るのかなあって思えたから」
凛花は腕を組んで、怪訝な顔。
「自分のキスマークが残ってる彼女に別れなんて切り出されたら、菊池勇太、超へこむんだろうね」
とんとんと首筋の絆創膏を突ついてきた彼女の手は、勢いよく払い退けた。ここにはふたりの痕があるのです、とは口が裂けても言えない。
「勇太君のことを考えると、伝えるのは体育祭が終わってからかな」
その言葉に、彼女はあんぐりと口を開けた。
「は?あと二週間は付き合うってこと?」
「だって勇太君、ただでさえ普段から塾や学級委員で忙しいのに、体育祭の仕切りも任されてるんだよ?今は切り出すタイミングじゃないと思って」
でしょ?と肩を竦めたが、彼女は解せぬと言わんばかりに顔を顰める。
「なあんかそれ、残酷な優しさだね」
しっかり呆れられたところで、階段下から声がした。
「乃亜、そこにいるのー?」
爽やかボイス。この声の持ち主は、疑わずとも勇太君。彼の足音が近付いてくる。
「え!別れんの!?」
デリカシーに欠けた声が、放課後の階段で反響した。
「ちょっと凛花、声大きいっ」
「だ、だって昨日の感じだと、もう少し様子見るのかなあって思えたから」
凛花は腕を組んで、怪訝な顔。
「自分のキスマークが残ってる彼女に別れなんて切り出されたら、菊池勇太、超へこむんだろうね」
とんとんと首筋の絆創膏を突ついてきた彼女の手は、勢いよく払い退けた。ここにはふたりの痕があるのです、とは口が裂けても言えない。
「勇太君のことを考えると、伝えるのは体育祭が終わってからかな」
その言葉に、彼女はあんぐりと口を開けた。
「は?あと二週間は付き合うってこと?」
「だって勇太君、ただでさえ普段から塾や学級委員で忙しいのに、体育祭の仕切りも任されてるんだよ?今は切り出すタイミングじゃないと思って」
でしょ?と肩を竦めたが、彼女は解せぬと言わんばかりに顔を顰める。
「なあんかそれ、残酷な優しさだね」
しっかり呆れられたところで、階段下から声がした。
「乃亜、そこにいるのー?」
爽やかボイス。この声の持ち主は、疑わずとも勇太君。彼の足音が近付いてくる。