【完結】鍵をかけた君との恋
体育祭当日。父の鼾が響く玄関で、母の遺影に微笑みかける。
「行ってきます」
そう言えば、行ってらっしゃい、と聞こえてくる。
「イエイ!一位!」
短距離走を終え席に戻ってきた凛花は、ピースサインの満面笑顔。
「すごい大差だったねえ」
「元バスケ部をなめんじゃないわよっ」
部活時代の壮絶な練習話に耳を傾けていると、ポスッと頭にあたる何か。振り向けばそこには、メガホンを手にした陸がいた。
「え、あ、り、りり陸……」
彼と真面に対話するのはあの一件以来。真顔の彼を前にどう反応しようか困っていると、テンションマックス中の凛花が助け舟になってくれた。
「陸見てた?さっきの私の走りっ」
「見てねえよ。俺紅組だし、白組のお前等に興味ない」
「ひっどーい!超速かったのに〜」
そんなやり取りに笑いが溢れる。緊張が僅かに解けるのがわかった。
陸の視線がこちらに向けられる。
「乃亜のハードル、次だろ」
「ああ、うん」
「気をつけろよ。お前どんくさいから転ぶぞ」
「うるさいなあっ」
「ははっ」
鼻で笑って、陸は自身の席へと戻って行く。その背中に舌を出したのは凛花だった。
「私の走りは見ないのに、乃亜の心配はするんかいっ。幼馴染愛でっか過ぎ!」
私はまたクスクス笑う。陸が普段通り接してくれたことが、嬉しかった。
「行ってきます」
そう言えば、行ってらっしゃい、と聞こえてくる。
「イエイ!一位!」
短距離走を終え席に戻ってきた凛花は、ピースサインの満面笑顔。
「すごい大差だったねえ」
「元バスケ部をなめんじゃないわよっ」
部活時代の壮絶な練習話に耳を傾けていると、ポスッと頭にあたる何か。振り向けばそこには、メガホンを手にした陸がいた。
「え、あ、り、りり陸……」
彼と真面に対話するのはあの一件以来。真顔の彼を前にどう反応しようか困っていると、テンションマックス中の凛花が助け舟になってくれた。
「陸見てた?さっきの私の走りっ」
「見てねえよ。俺紅組だし、白組のお前等に興味ない」
「ひっどーい!超速かったのに〜」
そんなやり取りに笑いが溢れる。緊張が僅かに解けるのがわかった。
陸の視線がこちらに向けられる。
「乃亜のハードル、次だろ」
「ああ、うん」
「気をつけろよ。お前どんくさいから転ぶぞ」
「うるさいなあっ」
「ははっ」
鼻で笑って、陸は自身の席へと戻って行く。その背中に舌を出したのは凛花だった。
「私の走りは見ないのに、乃亜の心配はするんかいっ。幼馴染愛でっか過ぎ!」
私はまたクスクス笑う。陸が普段通り接してくれたことが、嬉しかった。