【完結】鍵をかけた君との恋
「よしっ。狙い通り誰もいないっ。ここなら幾らかは落ち着けるでしょ、乃亜」
休憩時間。凛花は落ち込む私の手を引いて、数年前から使われていない教室の扉を開けた。
先ほどの一件で一躍有名人となった私は、歩くだけで指をさされる的に。とてもじゃないが、校庭では食事が喉を通らない。
「乃亜、この部屋ホコリっぽいから、ベランダで食べない?」
凛花に言われるがままに、私は外へ出た。ふたり手すりに手をかけて、眺める校庭。
「ここから見ると、みんな小さいねえ。あ、加藤先生がまた男子を怒ってる」
彼女の指を辿っていくが、私にはどれが誰だかわからなかった。
「凛花、よく見えるね」
「あははっ。今にもパンチ出そー」
サンドイッチを片手にヒューマンウォッチングを楽しむ彼女。毎年体育祭といえば、彼女の昼は決まってこれだ。運動の合間に手軽にとれるようにと、母が作ってくれているのだとか。私のご飯は三年間連続、コンビニのおにぎり。
「なんかさあ」
早々に最後のひとくちを胃へ沈め、凛花は言う。
「こうやってどんどん終わっちゃうんだね、中学生活も」
どこかしみじみとした、言い方だった。
「早いなあ。高校生になったら、乃亜ともあまり会えなくなるのかなあ」
「どうなんだろ」
「え、何その反応、寂しっ」
受験を終え、新生活を送る自分をふと頭に描けば、少し笑えた。
「凛花、大丈夫」
「何が?」
「高校生になっても私達、今と変わらず遊んでる」
時の流れの早さを感じるのは夏休みだけだと思っていた小学生時代とはもう違う。十五歳の私達が大人になるなんて、流れ星が燃え尽きるように一瞬なのかもしれない。
休憩時間。凛花は落ち込む私の手を引いて、数年前から使われていない教室の扉を開けた。
先ほどの一件で一躍有名人となった私は、歩くだけで指をさされる的に。とてもじゃないが、校庭では食事が喉を通らない。
「乃亜、この部屋ホコリっぽいから、ベランダで食べない?」
凛花に言われるがままに、私は外へ出た。ふたり手すりに手をかけて、眺める校庭。
「ここから見ると、みんな小さいねえ。あ、加藤先生がまた男子を怒ってる」
彼女の指を辿っていくが、私にはどれが誰だかわからなかった。
「凛花、よく見えるね」
「あははっ。今にもパンチ出そー」
サンドイッチを片手にヒューマンウォッチングを楽しむ彼女。毎年体育祭といえば、彼女の昼は決まってこれだ。運動の合間に手軽にとれるようにと、母が作ってくれているのだとか。私のご飯は三年間連続、コンビニのおにぎり。
「なんかさあ」
早々に最後のひとくちを胃へ沈め、凛花は言う。
「こうやってどんどん終わっちゃうんだね、中学生活も」
どこかしみじみとした、言い方だった。
「早いなあ。高校生になったら、乃亜ともあまり会えなくなるのかなあ」
「どうなんだろ」
「え、何その反応、寂しっ」
受験を終え、新生活を送る自分をふと頭に描けば、少し笑えた。
「凛花、大丈夫」
「何が?」
「高校生になっても私達、今と変わらず遊んでる」
時の流れの早さを感じるのは夏休みだけだと思っていた小学生時代とはもう違う。十五歳の私達が大人になるなんて、流れ星が燃え尽きるように一瞬なのかもしれない。