【完結】鍵をかけた君との恋
 ざわざわと騒ぎ出した廊下に気付いた凛花が、私の席へとやって来る。

「ちょっと乃亜っ、やばいことになってる」

 そう言って、教室から小走りに出て行く彼女の後を追った。

「こら!関係ない生徒は教室に戻る!散った散った!」

 廊下に溢れ返った生徒を促す学年主任。野次馬の視線は、あるふたりの元へと注がれていた。

「陸と菊池勇太じゃん……」

 人混みの中でも確認できてしまった、双方の口元の血。陸が一足先に自身のクラスへ入室すると、私の目の前を通り過ぎた勇太君も教室へと入っていく。

 凛花が私の耳元で囁いた。

「何があったの?あのふたり」
「さあ……」

 学校でトイレに篭りたくもないので、私は考えることを放棄した。
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