冷徹御曹司は想い続けた傷心部下を激愛で囲って離さない
ゆるゆると手を顔の高さまで持ちあげる。夜なのに眩しいな、とかすかに目を細め……あさひは目を見開いた。
「うそ……っ」
「明日でもよかったんだが、待てなかった」
婚約指輪。
先日注文したばかりの輝きが、あさひの薬指で強い光を放っている。
頭がぐるぐるして、心臓だけが痛いくらいに激しく脈を打つ。
薬指からじわじわと熱が広がって、体温が上がっていく。
「仕上がったという連絡がきたからな。ここに来る前に受け取ってきた」
凌士が満足そうに目を細め、指輪を嵌めたあさひの手を取る。
呆然とするあさひの隣で、絵美が手を叩いて歓声を上げた。
絵美と別れ、あさひは凌士の車に乗りこむ。助手席のドアを閉めた凌士も、運転席に回って乗りこんでくる。だが、凌士は車を発進させずに助手席に身を乗り出した。
やわらかな唇が押し当てられ、すぐに離れる。
「惚けた顔だ」
「言わないでください……。いらっしゃるのも早かったし、まさか指輪を嵌めてもらえるなんて思いもしなくて……」
脈が速くなったせいか、一気に酔いが全身を染めて頭がくらくらしているのだ。
「指輪をピックアップしたあと、近くで時間を潰していたんだ。やはり似合う」
「ありがとうございます」
告げるなり、また唇が優しく押し当てられた。
あさひはその甘さに陶然と身を任せる。
「せっかくだから今、言っておく。よく聞いておけ。眠るなよ」
思わず助手席で居住まいを正すと、凌士が苦笑して続けた。
「一生、俺を選んだことを後悔させないと誓う。なにがあってもだ。だから安心して俺の隣にいろ」
「……はい、凌士さん」
あさひは返事を待たずに思いきり身を乗り出し、凌士の首に腕を回す。凌士が目をみはった。かすかに体を強張らせたように感じていぶかしく思ったのもつかのま、凌士は顔じゅうに笑みを広げた。
(そっか、わたし初めて自分から……)
積極的に凌士に抱きついた。
「うそ……っ」
「明日でもよかったんだが、待てなかった」
婚約指輪。
先日注文したばかりの輝きが、あさひの薬指で強い光を放っている。
頭がぐるぐるして、心臓だけが痛いくらいに激しく脈を打つ。
薬指からじわじわと熱が広がって、体温が上がっていく。
「仕上がったという連絡がきたからな。ここに来る前に受け取ってきた」
凌士が満足そうに目を細め、指輪を嵌めたあさひの手を取る。
呆然とするあさひの隣で、絵美が手を叩いて歓声を上げた。
絵美と別れ、あさひは凌士の車に乗りこむ。助手席のドアを閉めた凌士も、運転席に回って乗りこんでくる。だが、凌士は車を発進させずに助手席に身を乗り出した。
やわらかな唇が押し当てられ、すぐに離れる。
「惚けた顔だ」
「言わないでください……。いらっしゃるのも早かったし、まさか指輪を嵌めてもらえるなんて思いもしなくて……」
脈が速くなったせいか、一気に酔いが全身を染めて頭がくらくらしているのだ。
「指輪をピックアップしたあと、近くで時間を潰していたんだ。やはり似合う」
「ありがとうございます」
告げるなり、また唇が優しく押し当てられた。
あさひはその甘さに陶然と身を任せる。
「せっかくだから今、言っておく。よく聞いておけ。眠るなよ」
思わず助手席で居住まいを正すと、凌士が苦笑して続けた。
「一生、俺を選んだことを後悔させないと誓う。なにがあってもだ。だから安心して俺の隣にいろ」
「……はい、凌士さん」
あさひは返事を待たずに思いきり身を乗り出し、凌士の首に腕を回す。凌士が目をみはった。かすかに体を強張らせたように感じていぶかしく思ったのもつかのま、凌士は顔じゅうに笑みを広げた。
(そっか、わたし初めて自分から……)
積極的に凌士に抱きついた。