冷徹御曹司は想い続けた傷心部下を激愛で囲って離さない
凌士がゆったりとフロアを見渡す。まるで、皆の注目を楽しむかのような堂々たる姿だ。
その目が、おもむろにあさひのところで止まる。心臓が、肌を突き破るかと思うほど跳ねあがった。
「このたび、俺自身の基盤も固めることにした。……碓井、こちらへ来い」
凌士は慣れているのだろう。けれど、あさひは衆目にさらされる経験なんて多くない。いたたまれず、身がすくむ。
でも、出ていかないという選択はなく。
あさひは部員たちのいぶかしげな視線を集めながら、凌士の席へ足を運ぶ。辞令を受けるときのように机を挟んで凌士に相対すると、凌士が隣に来るよう小声で指示した。
(凌士さん、堂々としててすごい……!)
あさひがぎくしゃくとした動きで隣に並ぶと、凌士がふたたび声を張った。
「このたび、リソースソリューション企画部チーフ、碓井あさひと結婚することになった。知ってのとおり、彼女は如月モビリティースにとっても将来有望な社員だ。その彼女と結婚できることを心から喜ばしく思っている。俺も彼女も、今後いっそう如月モビリティーズのために尽くしていくから、皆、引き続きよろしく頼む」
しん、とフロアじゅうが静まり返った。けれど、まるで針のむしろだと感じたのはほんの一瞬。
どよめきとともに、拍手が湧き起こった。おめでとうございます、という声が方々から上がる。凌士はそれらを平然と受け止めると、話を締めた。
その目が、おもむろにあさひのところで止まる。心臓が、肌を突き破るかと思うほど跳ねあがった。
「このたび、俺自身の基盤も固めることにした。……碓井、こちらへ来い」
凌士は慣れているのだろう。けれど、あさひは衆目にさらされる経験なんて多くない。いたたまれず、身がすくむ。
でも、出ていかないという選択はなく。
あさひは部員たちのいぶかしげな視線を集めながら、凌士の席へ足を運ぶ。辞令を受けるときのように机を挟んで凌士に相対すると、凌士が隣に来るよう小声で指示した。
(凌士さん、堂々としててすごい……!)
あさひがぎくしゃくとした動きで隣に並ぶと、凌士がふたたび声を張った。
「このたび、リソースソリューション企画部チーフ、碓井あさひと結婚することになった。知ってのとおり、彼女は如月モビリティースにとっても将来有望な社員だ。その彼女と結婚できることを心から喜ばしく思っている。俺も彼女も、今後いっそう如月モビリティーズのために尽くしていくから、皆、引き続きよろしく頼む」
しん、とフロアじゅうが静まり返った。けれど、まるで針のむしろだと感じたのはほんの一瞬。
どよめきとともに、拍手が湧き起こった。おめでとうございます、という声が方々から上がる。凌士はそれらを平然と受け止めると、話を締めた。