冷徹御曹司は想い続けた傷心部下を激愛で囲って離さない
視界の端で、如月本体の社員が血相を変えて走り去るのが見えたが、凌士は気にも留めなかった。「鋼鉄の男」の評判が役に立ったらしいと、冷めた思いで野々上を見据える。
不合理も無駄も切り捨て、言い訳も切り捨ててきた凌士の眼光を前に、社内で言い逃れできる者はいない。
それは野々上も同様だった。
「いや……碓井は優秀ですよ。ただ、購買部内がゴタついていたときで……碓井には外に出てもらうしかなかったんです」
「へえ、購買部長からはそのような話を受けたことはないが。部内の問題を上にも上げず、課長がひとりで処理されたと?」
「それは、その、事情が絡みまして」
野々上がしどろもどろになりながら、目線をさまよわせる。あいにく、凌士には手加減する気はつゆほどもない。
「課長の個人的な事情に、碓井を巻きこんだわけですか」
「巻きこんだんじゃないっ! それに彼女には手土産つきで異動させた! 外部から口出しされるいわれは——」
「その『手土産』とやらが昇進というわけか。私的な事情とやらも含め、すべて話してもらおうか」
冷え切った声が口をつく。
野々上の顔が凍りつき、やがて観念した様子であさひとの——付き合いから始まる一連のすべてを白状し始めた。
不合理も無駄も切り捨て、言い訳も切り捨ててきた凌士の眼光を前に、社内で言い逃れできる者はいない。
それは野々上も同様だった。
「いや……碓井は優秀ですよ。ただ、購買部内がゴタついていたときで……碓井には外に出てもらうしかなかったんです」
「へえ、購買部長からはそのような話を受けたことはないが。部内の問題を上にも上げず、課長がひとりで処理されたと?」
「それは、その、事情が絡みまして」
野々上がしどろもどろになりながら、目線をさまよわせる。あいにく、凌士には手加減する気はつゆほどもない。
「課長の個人的な事情に、碓井を巻きこんだわけですか」
「巻きこんだんじゃないっ! それに彼女には手土産つきで異動させた! 外部から口出しされるいわれは——」
「その『手土産』とやらが昇進というわけか。私的な事情とやらも含め、すべて話してもらおうか」
冷え切った声が口をつく。
野々上の顔が凍りつき、やがて観念した様子であさひとの——付き合いから始まる一連のすべてを白状し始めた。