鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~

あなたに報いる方法

 一方、客席からアーロンに手を振るマリアベルは。

「やっぱりお強いわ、アーロン様。魔法なしで戦ったら私が完敗するわね!」
「なによあの男。ベルお姉さまと婚約したからって、これみよがしに……」
「あはは……」

 嬉しそうに笑いながら、彼の腕前に感心していた。
 ……マリアベルも戦闘タイプだから、強さを重視するところが、ちょっとあるのだ。
 マリアベルの右隣に座るクラリスは、面白くなさそうに、ふんっとそっぽを向いた。
 そんな二人の言葉を聞きながら苦笑するのが、マリアベルの左に座るコレットだ。

――マリアベル様は、魔法ありなら勝てそうなんですか……?
――クラリス様は、まだお二人の婚約を認めていらっしゃらないんですね……。

 と、脳内で伯爵令嬢二人にツッコミを入れている。
 コレットもアーロンの試合を見に来ることがあるが、武の名門の出というだけあって、やはりかなり強い。
 この学院に、剣技で彼に勝てる者はいないのではと思う。
 しかしその婚約者のマリアベルといえば、魔法ありなら勝機があるともとれる発言をするものだから、恐ろしい。
 剣の名手と、魔法の名手。共闘の機会でもあったら、戦闘力が高すぎて大変なことになりそうだ。
 二人がともに戦う姿を想像し、コレットは「最強夫婦なのでは……?」と思うなどした。
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